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過酷な環境に対応するAIエッジプラットフォームが踏切の安全監視を強化

31/01/2023

パートナー企業:IronYun USA Inc 

地域:USA

プロジェクト紹介

 人工知能 (AI) と5Gネットワーク技術は、交通インフラ分野のアプリケーションに革命をもたらしています。両技術の融合により、画像認識、ディープラーニング、低遅延通信をはじめとする多彩なスマート機能の搭載が可能となりました。これにより、より安全で利便性の高い次世代の交通インフラの実現に向けた、多様なインテリジェント・アプリケーションの開発・運用を強力に後押ししています。

 台湾には400箇所を超える道路上の踏切が存在しますが、残念なことに毎年数百件もの踏切事故が発生しており、多くの死傷者を出す要因となっています。本来、踏切の遮断機は列車通過時以外は開いていることが前提ですが、必要な際に完全に閉まりきらない場合、最悪のケースでは重大な事故を、軽微な場合でも予期せぬ運行遅延を引き起こします。しかし、人力のみで踏切の安全を完全に担保することには限界がありました。こうした課題を解決するため、テクノロジーを駆使して問題にアプローチする新たなプロジェクトが立ち上がり、映像解析技術を活用した独自の安全監視アプリケーションが考案されました。本ソリューションは、地理的条件や天候の変化、ドライバーの死角といった様々な不確定要素を考慮し、踏切手前の進入エリアにおける安全性を飛躍的に向上させることを目指しています。

プロジェクト要件

 全国に点在する踏切において、自動化システムによる確実な安全性を担保することは、考慮すべき変数が多く極めて困難です。また、従来のシステムでは対応速度が不十分なケースもありました。こうした課題に対し、ある鉄道事業者は、この種のスマート交通アプリケーションに不可欠な機能を完全に引き出すため、エッジコンピューティング、AI、そして5G通信といった先端技術の導入検討を開始しました。デジタルカメラ、エッジAIプラットフォーム、5Gネットワークを配備することで、物体や歩行者、車両の動きを瞬時に識別するシステムを構築。これにより、人の手を介することなく、24時間365日いつでも99.9%の極めて高い精度で踏切を自動監視することが可能となります。本ソリューションには、カメラやセンサから収集した膨大なデータを高速で処理する能力が求められます。システムはこれら全てのデータを統合・処理し、導入されたVAIDIO (ヴァイディオ) プラットフォームを介してAI映像解析を実行。これにより、踏切に接近する車両や電車の運転士に対して、瞬時にアラートや警告を通知するリアルタイム性を実現しました。

プロジェクト概要

 AIソフトウェア企業である米国のIronYun社は、世界最高水準の極めて高い精度を誇るAI映像解析プラットフォーム「VAIDIO (ヴァイディオ)」を提供しています。同社はこれまで、交通機関や港湾管理をはじめ、原子力発電所、公衆衛生など、多岐にわたる垂直市場バーティカル市場において、世界中のお客様による数万台規模の監視カメラ運用を支援してきました。企業や政府機関向けにエンドツーエンドのプライベートクラウド型「VAIDIO AI Visionプラットフォーム」を展開しており、2021年には米IDC社によって世界の監視市場における主要企業として評価されています。今回、IronYun社は、高信頼性の産業用コンピュータで世界的に高い評価を得ているアドバンテックにアプローチを行いました。同社は、自社の「VAIDIO」AIソフトウェアと連携できる強力なエッジAIソリューションを求めていました。このエッジAIプラットフォームには、多彩なI/Oのサポートや5Gネットワーク対応に加え、最も重要な要件として、ほぼゼロの遅延で膨大な量の映像データを処理する能力が求められます。これにより、踏切における潜在的な危険事象を事前に検知し、運行管理者や電車の運転士へ緊急アラートや警告を即座に通知するリアルタイムな対応が可能となり、重大な事故の回避に貢献します。

システムの概要

 本プロジェクトにおいて、IronYun社は踏切周辺に4台のカメラを設置。映像のキャプチャを行うため、PoEスイッチ「EKI-7710G-2CPI」を介して各カメラへの電力供給と接続を行いました。撮影された映像データは、踏切脇のキャビネットに設置された沿線用AIエッジプラットフォーム「ITA-3650G」へと送信されます。このプラットフォームには、リアルタイムデータ解析用のGPUカード「SKY-MXM RTX3000」と、データ伝送用の5Gモジュール「AIW-355」が内蔵されています。

 ITA-3650Gは、カメラから毎秒送られてくる膨大な映像データを統合・処理し、VAIDIO AIプラットフォームがこれをリアルタイムで解析します。VAIDIOは、高度なアルゴリズムを用いたマルチフレーム解析により、あらゆる物体の識別とその状態の検知が可能です。例えば、物体が踏切内に30秒以上留まった場合、VAIDIOはそれを侵入事象として識別・確定します。その後、5Gネットワークを介して、わずか2秒以内に電車の運転士へアラート警告が即座に送信されます。

 遮断機が閉じると、その遮断状態がリアルタイムで緊急アラートシステムに常時送信されます。システムが遮断機が閉じていることを認識している状態で、同時に「VAIDIO/ITA-3650G」から踏切内への侵入アラートを受信した場合、緊急アラートシステムは、1〜2km先を走行中の接近してくる電車の運転士に対して即座に警報通知を送ります。これにより、運転士は状況に応じて適切な対応(列車の停止または減速)をとることが可能となります。

システム構成図

信頼性の高いエッジAIが踏切の安全監視を実現

導入製品

  • ITA-3650G:鉄道沿線向けAIエッジプラットフォーム
  • SKY-MXM-RTX3000:GPUカード
  • AIW-355:5Gセルラーモジュール(ITA-3650Gに内蔵)
  • EKI-7710G-2CPI:PoEスイッチ
  • VAIDIO:AIビジョンソフトウェア

まとめ

 スマートアプリケーションの多くは郊外や遠隔地に配備されるため、設置が容易で極めて信頼性が高く、かつ過酷な環境下でも動作可能なソリューションが求められます。このようなケースにおいて、クラウドベースのサービスを利用することは費用対効果が低いと言わざるを得ません。なぜなら、産業用グレードのAIエッジプラットフォームを配備するコストは、クラウドサービスを利用する場合のわずか数分の一に抑えられるためです。また、ネットワークのエッジからクラウド間をデータが往復する通信距離を考慮すると、即時性も担保できません。そのため、エッジコンピューティングによるソリューションこそが最適な解決策となりました。

 アドバンテックとの協業により、Intel x86ベースのファンレス設計を採用したAIエッジプラットフォーム「ITA-3650G」(MXM GPUおよび5Gセルラーモジュール内蔵)が、強力かつ高速で信頼性の高い早期警戒システムを実現しました。ITA-3650Gはマイクロ秒単位で膨大なフレームを処理し、さらにVAIDIOが複数フレームから物体や異常を検知して、不審な事象のフラグを識別します。これにより、99.9%の極めて高い精度を誇る踏切アラート応答を可能にしました。その結果、映像のキャプチャから電車の運転士へのアラート通知までを、わずか2秒未満という驚異的なスピードで完了させます。

アドバンテックが選ばれる理由

 本踏切警告ソリューションには、広範な動作温度に対応し、あらゆる気象条件下でも安定して機能する堅牢な設計と、高い耐久性を備えたシステムが不可欠でした。さらに、高性能なエッジAIプラットフォームを線路脇に設置する必要があるため、通信トラブルを起こすことなく、複数のカメラやセンサから送られてくる膨大なデータを処理する能力も求められていました。

 アドバンテックは、包括的な製品ポートフォリオに加え、強力なパートナーシップ連携と効率的な生産管理体制を整えており、他社よりも迅速な製品供給が可能です。これにより、VAIDIOを用いた負荷テストの実施やテスト結果への迅速な対応、そしてすべての監視システムを最短期間で現地へ配備することが可能となりました。

 アドバンテックは、GPUカードからAIアクセラレータまで、様々なフォームファクタのエッジAIプラットフォームを幅広くラインアップしています。これらはすべてVAIDIOソフトウェアプラットフォームと完全な互換性があり、様々な監視規模に対応可能です。新規設置、既存システムのアップグレード、さらには将来的なシステム拡張に至るまで、アドバンテックはスマート監視アプリケーションにおけるワンストップ・ソリューションを提供いたします。