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長期航海も安心!SaierNicoとAdvantechが提携 WISE-PaaSによる一歩先行く船舶スマート化の船出

2020/02/20
文:王聡  
取材:鎮江SaierNico自動化有限公司 上級エンジニア 陳松濤

SaierNico自動化有限公司(以下、「SaierNico」)は、Advantechの産業用IoTクラウドプラットフォームWISE-PaaSを利用して、船舶データの収集から、データ伝送、クラウドプラットフォームの構造モデリング、ビッグデータ分析に基づく意思決定、データの可視化までを行う一体型のリモート監視管理システムの構築を行った。船舶のリアルタイムセンシングを実現することで、船舶のスマート化のための整備コストと維持管理コストを大幅に低減することが実現した。

船舶および海洋工学は、以前より国家を代表する戦略的先端産業として、中国経済社会の長期的な発展を牽引する重要な分野に位置づけられてきた。中国工業情報化部が昨年発表した『船舶の艤装および建造のスマート化推進に関する行動計画(2019-2021年)』、『スマート船舶の発展に関する行動計画(2019—2021年)』では、船舶産業の構造高度化を加速し、船舶用付属設備に関連する能力およびレベルの向上を強力に後押しすることで、国際競争力を持つ優良企業を育成していくことが示されている。

SaierNicoは、民間船舶における自動化、情報化、スマート化の有力な旗手として、イノベーション主導型の発展戦略を積極的に展開しており、配電・自動化設備の製造メーカーから、電気による自動化に関するトータルソリューションサプライヤーへの構造転換と高度化を実現しようとしている。

特に、船舶設備とそのシステムの維持管理データをリアルタイムで常時収集・検知・分析することにより、リモートでの故障診断を迅速に行い、予知保全の提案を行うことは、船舶の全体的な性能の向上および運用効率のスマート化における重要なポイントである。

SaierNico研究開発部副部長 陳総氏はSaierNicoについて、「1994年に設立された、船舶向け電気および自動化システムの専門サプライヤーであり、船舶および海洋作業に関する電気・自動化システムおよびシステムインテグレーションの研究開発・生産・販売および総合技術サービスを専門に行うハイテク企業です。20年以上にわたる発展の中で、各種の製品を累計3,000隻以上、電気・自動化統合パッケージを200隻以上の船舶に提供しました。顧客は全世界400以上の船主に拡大し、製品を提供した船種はバラ積み船、コンテナ船、タンカー、ケミカルタンカー、LNGタンカー、海洋作業船、カーフェリーなど、ほぼ全ての船種に及んでいます。船舶付属品の分野では、配電板の市場占有率において10年以上にわたり市場をリードし続けており、さらに世界レベルでも上位に入っています。」と紹介した。

そして「近年、船舶業界はまさにスマート化を目指すスタート段階にあり、産業用クラウドプラットフォームやビッグデータといった先端技術に後押しされ、デジタル化とインタラクティブなデータ活用が業界の主な目標となっています。SaierNicoがAdvantechと提携の下、WISE-PaaSプラットフォームを用いたクラウドベースのリモート監視プラットフォームを構築したことにより、高級スマート船舶の製造に移行する際のコストを大幅に下げ、スマート化推進における足がかりとなりました。 このように、構造転換と高度化により、業界全体にスマート化の波が押し寄せています。」とコメントした。 

陳氏は船舶業界の全体的な情報化レベルに関して、中国の船舶業界における自動化は概ね達成され、さらに情報化も徐々に完了しつつある状態であり、現在はスマート化のスタート段階にあると見ている。 

この段階を「中国船舶工業行業協会が近ごろ発表した『2018年上半期における船舶産業の経済運行分析』報告書によると、外部の経済情勢によるものとして2018年上半期における全世界の海運市場は小幅な伸びを示しているものの、融資や船舶引渡し、収益化の状況が厳しいという問題が依然として存在しています。その一方で、船舶向け付属品産業の移行に対する造船産業側の受け入れはあまり進んでいません。浸透する速度が自動車や電子等の産業ほど速くなく、多くの顧客において船舶のスマート化は、まだ概念的に認知されている段階です。」と説明している。 

そして、陳氏は「2019年はSaierNicoにとっても、スマート化により構造転換と高度化を目指すための重要な時期に当たります。」と語り、ビッグデータ、スマート端末、センシング技術といった先端技術の出現とともに、スマート船舶の発展は大きな流れになってきており、クラウドプラットフォームによって船舶データの収集、分析、可視化を実現し、船舶スマート化に向けた整備コストと維持管理コストを大幅に低減すると考えている。

しかし、それは容易なことではない。遠洋船舶は多くの場合、出航後1年以上経過してやっと基地に帰還するため、付属品設備やシステムは故障発生率を最大限低くする必要がある。そして、スマート船舶の付属品設備は自動化が実現できただけでは終わらず、統合情報プラットフォームとスマート処理プラットフォームを構築しなければならない。さらに、スマート船舶の付属品設備やシステムに問題が発生した場合、通常の船舶設備の故障に比べて重大な影響を及ぼし、船舶の運用および航行における意思決定の際に、ミスが発生する危険性もある。

そのため、SaierNicoではデータ駆動による船舶のリモート監視をスマート化発展の第一歩と位置づけ、クラウドプラットフォームによる「1クラウド2側(船側-クラウドプラットフォーム-陸側)」の管理モデルの実現により、船舶の運行データの収集、伝送、分析モデリング、表示を実現するとともに、法則性モデルの構築および修正を行う。これは、顧客の航行における意思決定の科学性を向上させ、ひいては船舶の全体的な性能と運用効率を向上させることを意味している。

Advantechとの提携により、クラウドでシステムのリモート管理のニーズに対応

SaierNicoは、目標を定めた上で船舶リモート監視ソリューションについて積極的に研究を開始した。産業用IoT市場における多種多様なクラウドプラットフォームを検討した末、SaierNicoは最終的にAdvantechを選択した。陳氏はこれについて、「私たちとAdvantechは、自動化やデータ収集の分野において既に10年近くにわたり提携を結んでおり、長年の友好関係を保っています。Advantechがこの方面において専門性を持っていることをよく理解していました。」とコメントしました。  

陳氏は、「AdvantechのWISE-PaaSプラットフォームは自動化の分野において多くの工業ノウハウを蓄積してきており、それによりAdvantechは、整備計画の議論の中で、様々な船舶システムの統合およびデータ収集における詳細な内容を提示することができたのだ」と率直に語っている。さらに、「Advantechが高いイノベーションおよび研究開発能力を持っており、船舶の運用および管理のための様々な応用分析ソフトウェアを開発してくれたことにより、SaierNicoが行う多くの船舶に対するデジタル化改造作業の実現をサポートし、後押ししてくれた」とも述べた。

Advantechのエンジニアとの議論の中で、SaierNicoはリモート監視ソリューションを大きく3つのモジュールに分類している。 

1つ目は、船舶に関するデータの収集ならびにクラウドプラットフォームへの保存である。SaierNicoは、AdvantechのWebAccess/SCADAゲートウェイを用いて、船舶機関室、操舵室、貨物室の各種設備の状態に関する情報、および船舶が航行する位置、航速、針路などの航行状態に関する情報の収集・整理・設定を実現するとともに、SCADA Data-WorkerによりSCADAゲートウェイが収集したデータ情報をクラウドデータベースに投入する。ここで、Data-Workerがデータを受け取る方式とAPIインターフェースはSCADA Photoソフトウェアによって管理される。

2つ目は、船舶データと設備の可視化の実現である。AdvantechのWISE-PaaS/SaaS Composer 3D構造モデリングソフトウェアにより、SaierNicoは、収集した全てのデータと設備の状態に関する情報を可視化して表示することができる。効果をより直感的に示すために、AdvantechのWISE-PaaS/Dashboardは、円グラフと棒グラフを自動作成する方式で、データの価値と運用効率を表示することができる。 

3つ目が最も重要とされる、AdvantechのWISE-PaaS/APM(資産実績管理サービス、Asset Performance Management)である。これについて陳氏は、「AdvantechのAPMシステムをベースに、SaierNicoは顧客向けに、種類の異なる設備に対し互換性のある収集ソフトウェア開発することができます。船舶上の様々な資産設備を統合フレームワークの下で管理して、マイクロサービスアーキテクチャを柔軟に組み合わせるのに必要となる、設備監視フォーマット、アラートサービス、設備維持管理、資産実績演算、レポート管理等のサービスを運用します。特筆すべき点として、AdvantechのAPMは、スマートフォン等のモバイル用APPに対応しており、ユーザーはいつでもどこでも設備監視、アラート情報の受信および分析レポートの確認を行うことができます。」と説明している。

データ駆動により、SaierNicoが長期航海の安心を実現 

陳氏は、SaierNicoがAdvantechのサポートの下で、WISE-PaaSプラットフォームサービスの統合によりクラウド構造を実現することができ、船舶データの収集から、データ伝送、クラウドプラットフォームの構造モデリング、ビッグデータ分析に基づく意思決定、データの可視化までを行う一体型のリモート監視管理システムを構築し、船舶のリアルタイムセンシングの実現が可能であると考えている。さらに陳氏は、現在、システムは良好に稼働しており、1,400個のI/Oポートを有する全船リモートデータ監視システムの新船への構築や、データの重要度に基づいて秒単位・10秒単位に区分したリアルタイムアップロードが可能であり、船舶の運行状況のリアルタイム表示と情報共有を実現していると紹介している。  

加えて、AdvantechのSaaS Composerの変数機能(templating)は、AdvantechのWISE-PaaSデジタルツイン(Digital Twin)の主要なサービスの1つであり、従来のグラフィック制御が持っていたIDE制限がなく、異なる垂直領域での図面の描画、動的情報のリアルタイム表示、リモート制御が可能であることをさらに強調している。「私たちの作業はデータを作成し、スマート化システムのデータ製造者となり、伝送者となることです。」とコメントし、陳氏はデータの分析と表示についても非常に重要であると考えており、「利用可能なデータがあっても、それを有用な情報に変換できなければならず、最終的にユーザーが、データから実質的な価値を生み出すことができなければなりません。」と述べた。 

また、陳氏はSaierNicoはAdvantechとの提携さらに強め、WISE-PaaSプラットフォームにより常時蓄積されているデータに対し、AdvantechのWISE-PaaS/AFS(人工知能モデルを用いたサービスフレームワークのトレーニングと配置、AI Framework Service)により、スマートスクリーニング、保存、結合、関連付け、呼び出しを行い、持続的なデータの保存、多層マイニング、層化クラスタリング呼び出し、法則性モデルの構築を実現し、データの価値を発揮させて、長期航海でも問題ないように船舶顧客をサポートすると述べている。 

最後に陳氏は、「SaierNicoにとって、船舶のスマート化の道は果てしなく遠いが、Advantechと手を取り合い、一歩一歩、着実に足跡を残していきます。」と締め括った。

システムアーキテクチャ


導入プロジェクト

Cloud

WISE-PaaS/EnSaaSIndustrial IoT PaaS Cloud Service

WISE-PaaS/APM: Asset Performance Management

WISE-PaaS/AFS: AI Framework Service

WISE-PaaS/DashboardData Analysis and Visualization

WISE-PaaS/SaaS Composer: 3D Flow Visualization 

WISE-PaaS/OTA2.0: Over-the-air Centralized Remote Software Upgrade

WISE-PaaS/VPN: Virtual Private Network 

Edge 

WebAccess/SCADA: 100% Web-based SCADA Software 

ECU-1251: Edge Intelligent Communication Gateway with WISE-PaaS/EdgeLink, a lightweight gateway software uploading data from edge to cloud

Edge-to-Cloud AIoT Architecture to Enable Real AIoT-Powered Cloud Business Models

IoT Software Online Business Channel to Buy, Deploy, and Customize Industrial Software Needs