紙製容器の製造工程におけるAI欠陥検出システム
23.12.2022

背景情報
従来の製造業では、品質管理の手段として目視検査や抜き取り検査が一般的に行われてきましたが、これらは多くの人手を要するうえ、検査対象外の製品に不良が残るリスクがあります。その結果、出荷後に不良率が基準を超えると、顧客から違約金や代金減額を求められる場合があり、場合によっては取引停止やブラックリスト登録につながり、企業の評価や市場での信頼を大きく損なう恐れがあります。
Claireye Intelligence(Claireye Intelligence Co. Ltd.)社は、当該課題に対する実効性の高いAIソリューションを提案しています。メディアで語られる印象とは異なり、AIの識別能力はすでに人間の目と同等の水準に達しています。Claireye Intelligence社のCEOであるShirley Liu氏は、「継続的に訓練されたAIシステムは、視覚識別の速度と精度において人間の目よりも優れた性能を発揮します。」と表明しています。
Claireye Intelligence社は近年、紙製容器の製造向けにAI欠陥検出システムを開発しました。従来は人の目による抜き取り検査が主流で、1個あたり約5秒を要し、誤判定率も約5%ありましたが、新たに導入されたAIシステムでは、毎秒33個(33FPS相当)の紙製ジャーを検査でき、検査精度も98%を超えています。
システム要件
Claireye Intelligence社と弊社が共同開発した本AI欠陥検出システムは、人手による検査に代わって、抜き取り検査から全数検査への移行を可能にします。これにより、検査作業の効率化だけでなく、製品品質の向上と安定した供給体制の確立に貢献します。
Shirly Liu氏は、本技術を導入した紙製ジャー工場について、高付加価値な多品種少量生産に対応する従来型の製造企業であると述べています。本AIソリューションでは、弊社の「ICAM-500」を活用することで、検査ステーションの追加や検査対象製品の切り替えにも柔軟かつ迅速に対応できます。実際に、生産品目をバドミントン用シャトル容器から茶容器へ切り替える場合でも、AIモデルを変更するだけで、同一の生産ライン上で検査を継続できます。これにより、同一のソフトウェアおよびハードウェア構成のまま、コスト削減と先進的なAI検査の両立が可能となります。
システム構成図

システムの概要
本製紙工場の事例では、Claireye Intelligence社が、生産ラインでの画像取得とAI推論を1台で担う弊社の産業用AIカメラ「ICAM-500」を採用しました。Liu氏は、「現時点でAI推論機能を備えた産業用カメラは、アドバンテックのICAM-500が市場で唯一の製品です」と説明しています。さらに、「ICAM-500はオールインワン設計により、PCやIPCなどの他ハードウェアと比べても、非常に高いコストパフォーマンスを実現します」と評価しています。
ICAM-500は、コンパクト筐体(82mm×121mm×53mm)を採用した、産業用AIカメラに分類されるオールインワン製品です。NVIDIA Jetson AIコンピューティングモジュール、SONY製産業用イメージセンサ、ズームレンズ、LED照明を一体化しており、システムインテグレーターは本製品1台でAIアプリケーションの開発からモデル導入までをスムーズに行えます。Liu氏は、「工場で画像取得とAI推論を行う場合、PCやIPCではカメラやレンズ、GPUなどの追加が必要ですが、ICAM-500はそれらをすべて1台でカバーし、33FPSという性能要件も満たしています」と述べています。これにより、導入作業の効率化に加え、他の生産ラインや拠点への迅速な横展開が可能になります。
Claireye Intelligence社が開発した紙製容器製造向けAIシステムは、検査工程を完全自動化しています。生産中に不良品が検出されると、周辺設備と連動して不良品を生産ラインから自動的に排除し、その解析結果を既存の工場管理システムと連携させることで、継続的な工程改善に活用できます。
まとめ
弊社のICAM-500は、高度なAI品質検査に必要な機能を1台に集約したオールインワン製品です。USB、RS485、デジタルI/O、HDMI、LANなど豊富なI/Oインターフェースを備えており、生産ラインの装置制御から上位システムとの連携まで柔軟に対応できます。Liu氏は、「ICAM-500のデジタルI/Oを活用することで、生産ライン上の設備を制御し、不良品を自動的に排除できます」と述べており、さらに「LAN経由で既存の工場ERPシステムともシームレスに連携できる点も大きな特長です」と表明しています。
ICAM-500には、CAMNavi SDK、HTML5ベースのWebツール、NVIDIA DeepStream SDK、Azure AVA Suiteが標準で提供されており、システムインテグレーターにとって利便性の高い開発環境を実現します。HTML5に対応しているため、開発者は追加のソフトウェアをインストールすることなく、ブラウザから現場のAI検査設定を直接操作できます。また、本プラットフォームはクラウド連携にも対応しており、パブリックまたはプライベートクラウドを活用したAIモデルの学習が可能です。
本ソリューションは、導入企業から高い評価を得ています。同工場では、まず1つの生産ラインでAI欠陥検出システムを一定期間運用し、その効果を検証したうえで、他の生産ラインへと横展開を進めています。さらに、今後新たに建設されるすべての工場にも本AIシステムを導入する計画です。将来に向けて、Claireye Intelligence社は弊社と連携し、製造業向けの先進的なAIソリューションの提供を継続していく予定です。