産業用コンプレッサの保守におけるリモートアクセス活用事例
3/19/2026

背景
競争力を維持するためには、ファイアウォールの内側や独立した産業ネットワークに設置された機器であっても、安全かつ柔軟にアクセスできる拡張可能なリモートアクセス環境が不可欠でした。同社は、遠隔からの障害診断、稼働データの収集、さらには予兆保全までを実現できる仕組みを必要としていました。
システム要件
本プロジェクトでは、以下の要件が求められました。
- ユーザー拠点に設置されたコンプレッサへ、安全にリモートアクセスできること
- リアルタイムデータの収集・分析による予兆保全を実現できること
- 現地での複雑な設定作業を必要としない、容易な導入が可能であること
- 欧州および米国のセルラーネットワークで利用できること
- すべての接続拠点を単一の集中管理プラットフォームで管理できること
- 通信の暗号化と、詳細なユーザー権限管理を備えていること
特に重要だったのは、デバイスをパブリックインターネットに直接公開することなく、拡張性と運用のしやすさを両立する点でした。
システム構成
これらの要件を満たすため、同社はアドバンテックの産業用LTEルータ「ICR-4271」を採用しました。ICR-4271は、欧州・北米のモバイルネットワークに対応したグローバル認証取得済みの産業用ルータです。各コンプレッサ設置拠点には、事前設定済みのICR-4271を設置し、アドバンテックの集中管理プラットフォームWebAccess/DMPに安全に接続します。
WebAccess/DMPは、すべてのデバイスを一元的に管理する中枢として、以下の機能を提供します。
- セキュアトンネルを介した暗号化リモートアクセス
- VPN構成、アクセス権限、ネットワーク設定の集中管理
- 機器を接続するだけで利用可能なZero Touch Deployment
- リモート診断、ログ取得、デバイス状態の監視
- サービスチームごとのユーザー権限管理
また、ICRルータが備えるRS232インターフェイスにより、レガシープロトコルを使用する旧型コンプレッサとも通信可能です。これらのデータもIPネットワーク経由で安全に送信されます。
導入・運用
導入時には、完全に自動化されたプロビジョニングプロセスが採用されました。ルータには、セキュリティ情報や拠点固有の設定を含む必要な構成があらかじめ書き込まれ、そのまま各ユーザー拠点へ出荷されます。 現地で電源を投入すると、ICR-4271は自律的にLTEネットワークへ接続し、WebAccess/DMPとの安全な通信を確立します。
これにより、サービスエンジニアは以下の作業を遠隔から実施できるようになりました。
- コンプレッサ制御ユニットへのリモートログイン
- 稼働状況やエラーログのリアルタイム確認
- ファームウェア更新や設定変更の実行
- 故障発生前の異常兆候の把握
WebAccess/DMPでは、地図表示によるデバイス管理、リモートソフトウェア更新、診断イベントに基づく自動アラートなど、フリート全体を可視化できます。
本システムは複数国で展開され、通信は各国のモバイル通信事業者を利用しながら、管理と監視はすべて中央で一元化されています。
システム構成図
導入効果
WebAccess/DMPとICR-4271を組み合わせたグローバル対応のリモートアクセス環境により、同社の保守サービスは大きく進化しました。
その結果、以下の効果を得ています。
- 障害対応の迅速化と、現地訪問回数の削減
- 予兆保全による保守コストの低減
- グローバル展開に対応可能な、統一された安全・高拡張性アーキテクチャ
- 最新機器からレガシー機器までをカバーする柔軟なサポート体制
この取り組みにより、運用負荷を軽減すると同時に、よりスマートで持続可能なサービスモデルへの転換を実現しました。 厳しい競争環境において、同社にとって明確な差別化要因となっています。
