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電子機器製造におけるAI視覚検査

2023/03/23

業界:電子機器製造

場所:台湾

 Might Electronics社は、約35年以上にわたる電子機器の研究開発および製造の経験を有する企業です。2021年10月には、台湾に新しい工場を開設し、生産能力の拡大を実現しました。このシステムは、アドバンテックの産業用GPUサーバ「SKY-6400」によって提供されており、モータ組立てラインでの検査効率を大幅に向上させています。

ストップウォッチを活用した生産ライン管理の非効率性と課題

 同社の旧モーター組立ラインでは、作業ステーションごとのサイクルタイムを記録するため、IEエンジニアがストップウォッチを持って定期的に現場を訪問する必要がありました。しかし、限られた人員の中で1か所あたり約5サイクルしか記録できず、そのデータは数値のみで視覚的な記録はありませんでした。こさらに、サイクルタイムの手動記録はIEエンジニアにとって大きな負担となり、データ収集に1~2営業日を要しました。その後、各ステーションのサイクルタイムを確認・調整する必要があり、作業の煩雑化と時間の浪費を招いていました。

ソリューション

 Might Electronics社は、生産ラインの効率性向上を目指し、AI視覚検査プログラム「PowerArena」を導入しました。このプログラムでは、各作業ステーションに設置されたカメラが画像を収集し、それらをアドバンテックの「SKY-6400」サーバへ送信し、AI分析を通じて作業データを処理します。これにより、各ステーションやオペレータごとの生産時間と数量を基に、サイクルタイムを瞬時に計算できるようになりました。

 Might Electronics社が導入したシステムは、作業ステーションのサイクルタイムに異常が発生した場合、管理者に即座に通知を行います。さらに、異常が発生したステーションの画像を再生することで、原因を正確に特定することが可能です。Might ElectronicsのRay氏は次のように述べています。「リアルタイムで生産ラインデータを取得できることで、リソースの動的な調整や現場の人員配置の最適化が可能となり、生産ラインのバランスを常に保つことができます。これにより、全体的な生産パフォーマンスを向上させることができます。」

 PowerArena社のGavin氏によりますと、AI視覚検査プログラム「PowerArena」の導入に際し、従業員のプライバシー保護に特に配慮したと述べています。カメラの角度を調整し、作業者の顔が記録されないようにし、AIが注視するのは手の動きのみに限定されております。また、同社では、AI導入の目的が品質向上であり、労働管理の厳格化を意図していないことを従業員に十分に説明するなど、コミュニケーションを大切にしてまいりました。プライバシー保護と透明性を重視する姿勢は、AI技術の活用における模範的な事例と言えます。

システム構成図

System Diagram


AI視覚検査の3つの主要特長:効率性、品質、そして包括的な生産履歴

 Might Electronics社では、AIシステムの導入により、全体的な運用効率が大きく改善されました。従来、IEエンジニアはデータ収集のために特定の標準作業手順(SOP)を策定し、膨大な作業時間を費やしていました。しかし、現在では、SOPの設定と分解作業が完了した後、エンジニアはコンピュータからサイクルタイムの統計を取得することができます。この新しいプロセスは、従来に比べて迅速で、かつサンプルサイズも大幅に増加しました。現在では、1日のデータをすべて利用して各作業ステーションを評価できるようになっています。さらに、AIソリューションを使用することで節約された時間は、生産ラインの最適化計画やその他の改善活動に充てられるようになり、効率的な生産活動が実現しています。

 次に、製品品質の検証が可能になった点が挙げられます。Ray氏は、かつてMight Electronics社では品質管理として、主に初回製品検査と生産終了時のサンプリングに頼っていたと指摘しています。しかし、初回製品検査は現場の作業員が独立して行う必要があり、そのため不確定要素が避けられませんでした。新たに導入されたAIシステムは、各作業ステーションで製品の全プロセスを記録し、異常が発生するとリアルタイムで管理者に通知します。この方法は、すべての製品を「初回製品」として検査するのに似ており、製品品質の管理が格段に向上しました。

 最後のポイントとして、包括的な生産履歴が確立されたことが挙げられます。PowerArena AI視覚検査プログラムのおかげで、各組立作業の完全な視覚記録を保持できるようになりました。品質管理スタッフが製品に問題を発見したり、顧客からのクレームがあった場合、Might Electronics社はシステム内の該当する組立作業の記録を遡ることができます。

AIアプリケーションに必要な性能と拡張性を提供

 Might Electronics社が自社工場においてAIアプリケーションを成功裏に導入できた理由は、PowerArenaのAIアルゴリズムと統合能力、そして重要なハードウェアの実装にあります。「その当時、Might Electronicsが求めていたハードウェアは、高い性能、長期的な安定運用、そしてAIコンピューティングの需要を1台のデバイスで満たすことでした。AdvantechのSKY-6400は、その要求を完璧に満たす選択肢であり、価格と性能のバランスにおいても最適でした」とPowerArenaのGavin氏は説明しています。SKY-6400は、24時間365日運用可能な産業用サーバで、揺るぎない運用安定性を誇ります。さらに、拡張性にも優れており、複数の追加グラフィックカードを搭載できるため、Might Electronics社のAI視覚検査アプリケーションの将来的な拡張計画に最適です。

 Might Electronicsは、将来的にAIを活用したSOP(標準作業手順)の分析を実施する計画を立てています。このシステムには多くのハードウェアリソースが必要となりますが、SKY-6400の優れた拡張性により、システム導入時に新たなメインハードウェアを購入する必要はありません。追加のグラフィックカードを増設するだけで、SOP AI分析に必要なコンピューティングリソースが確保できるため、将来的なシステムの拡張がスムーズに行えます。

 Ray氏は、スマート製造の発展に対応するため、Might Electronics社が新しい工場でWi-Fi 6プロトコルを完全に導入したことを強調しました。さらに、Might Electronics社は、将来的に人員管理や工場の安全面でAIアプリケーションの可能性を検討する予定です。企業は、工場のスマート化を加速させ、グローバル市場での競争力を一層強化することを目指しています。このような取り組みにより、Might Electronicsは次世代の製造業のリーダーとしての地位を確立することを目指しています。


アドバンテックについて

 アドバンテックは、「Enable an Intelligent Planet(インテリジェントな地球を実現する)」という企業ビジョンを掲げています。同社は、IoTインテリジェントシステムと組み込みプラットフォームの分野におけるグローバルリーダーです。IoT、ビッグデータ、人工知能のトレンドを取り入れるために、アドバンテックは、産業用IoTプラットフォーム - WISE-PaaSコアを備えたIoTハードウェアおよびソフトウェアソリューションを推進し、ビジネスパートナーや顧客の産業チェーンの接続を支援しています。アドバンテックはまた、ビジネスパートナーと協力し、産業インテリジェンスの目標を加速させるビジネスエコシステムを共創しています。(https://www.advantech.co.jp/)

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 アドバンテックの産業用クラウド&ビデオグループ(ICVG)は、機器メーカー、サービスプロバイダー、企業がネットワークのどこにいてもビジネスやミッションクリティカルなアプリケーションを信頼性高く実行できるスケーラブルなプラットフォームを提供し、クラウドをIoTエッジへと拡張する支援を行っています。私たちの革新的な産業向け、ネットワーキング、ビデオソリューションは、クラウドネイティブな運用へのシームレスな移行を実現します。これらは活気あるソフトウェアエコシステムとサプライチェーンによってサポートされ、デジタルトランスフォーメーションを加速するための重要な基盤構築要素を提供します。産業エッジやエンタープライズエッジからネットワークインフラ、ハイブリッドクラウドに至るまで、アドバンテックのICVGは、5GおよびAIoT経済の新しい基盤を形成する製品やサービスの共創を促進しています。(www.advantech.com/cloud-iot

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