鉄鋼製造向けの機械状態監視システム
2021/09/17

概要
台湾最大の鉄鋼メーカーは、グローバル市場での競争力を維持しつつ、運用の信頼性、効率性、収益性をを向上させようとしていました。そのためには、機械監視ソリューションの導入コストと予期しないダウンタイムによるコストを比較することが必要でした。
同様に、既存の設備を維持することは金属および鉄鋼メーカーにとって課題をとなります。アドバンテックの機械状態監視ソリューションは、オペレーターが重要な資産の状態をリアルタイムで監視しながら、効果的に設備を維持することを実現します。
システム要件
鋼鉄の生産プロセス、具体的には圧延/冷間圧延および完成鋼製品の製造には、安全で正確な大規模生産設備の多様な選択が必要です。この設備は、施設内での運転中に振動、圧力、液面、温度データを生成します。このデータを測定・分析することで、効果的な監視と管理が可能になります。実際、振動データは機械の健康状態を非常に示唆しています。それにもかかわらず、大型設備には同様に多数のセンサが必要です。これにより、センサ間の信号同期が設備監視ソリューションの成功において重要な要素となります。
音・振動を正確に収集するためには、高性能なプラットフォームが必要です。このプラットフォームは、データの保存とリアルタイム計算を提供する能力が求められます。また、時間領域と周波数領域の分析も行う必要があります。このシステムは、保守および管理の効率を向上させるために、機械の状態に関するリアルタイムの更新も提供する必要があります。
システム概要
この事例のプロジェクトでは、アドバンテック「PCIE-1802」の動的データ取得カード4枚と同期ケーブルを導入しました。これらのカードは、アドバンテックのMIC-7500高性能コンピューティングプラットフォームとDAQNavi/SDKソフトウェア開発キットと共に使用されました。PCIE-1802動的データ取得カードは、最大24ビットの解像度を持つ8セットの同時取得チャネルを提供しました。各チャンネルは、毎秒216Kの振動信号をサンプリングし、同様に8つのチャンネルは1秒間に最大1.6Mの振動信号を同時にサンプリングすることができます。
鉄鋼生産機器には、32セットの高ビット(24ビット)振動センサ(IEPEセンサ)を統合して測定する必要があります。各センサチャンネルは、正確なデータ分析と解釈を行うために、時間同期を確保します。アドバンテックの同期ケーブルと4枚のPCIE-1802カードを組み合わせることで、32チャンネルの同期が可能となり、全32チャンネルで毎秒6.4Mのサンプリングデータを収集することができます。
データ収集後、そのデータはMIC-7500高性能産業用コンピュータに転送され、処理および分析が行われます。これらの高度な機能により、時間および周波数領域分析を通じて機械の監視・管理が可能になります。さらに、アドバンテックのDAQNavi/SDKソフトウェア開発キットは複数のプログラミング言語をサポートし、広く普及しているLabview VI開発ツールを活用しています。これにより、システムインテグレータはLabviewインターフェイスを直接使用してソフトウェア・アプリケーションを開発することができます。
導入製品
- MIC-7500:高性能Intel® 第6世代Core™i プロセッサ搭載 コンパクトファンレスPC
- PCIE-1802:216MS/s、24-bit、8-ch音・振動用PCIeカード
- PCIE-1803:128MS/s、24-bit、8-ch音・振動用PCIeカード
- DAQNavi/SDK:DAQ(データ収集)製品用ソフトウェア開発パッケージ
システム構成図

まとめ
大規模な設備監視には、センサ、データ取得、コンピューティングの3つの要素が必要です。アドバンテックは、本プロジェクトにおいて、PCIE-1802動的信号取得カードとMIC-7500コンピューティングプラットフォームをDAQNavi/SDKソフトウェア開発キットとともに提供することで、重要な役割を果たしました。実際、DAQNavi/SDKとLabVIEWの高度な機能により、アドバンテックの顧客は迅速に開発を完了することができます。
アドバンテックは、お客様の仕様要件とコスト要望に応えるため、PCIE-1803ダイナミック信号収集カードの効率化モデルを1年足らずで開発しました。この新モデルはPCIE-1802のソフトウェアと完全互換性を持ちつつ、コストを30%削減しています。アドバンテックは、インダストリー4.0の加速を目指し、今後も同様のプロジェクトにおいてその豊富な経験を活かしていきます。