電気自動車(EV)は、気候変動やCO2排出、また近年の価格低下の影響もあり、普及が進んでいます。しかし、EVでCO2排出量削減を試みる政府にとって、充電設備の不足は大きな懸念事項です。民間企業にとっては、こうした設備の導入はコストが高いため、EV充電スタンドの設置に消極的です。
こうした状況の中、韓国では、輸送セクタのCO2排出量ゼロを達成するため、EV充電スタンド利用を促すプログラムをいくつか立ち上げています。充電スタンド事業者や自動車メーカーに対し、補助金や税制優遇、新築建設物へのEV充電インフラの設置義務化などの施策を講じています。
アドバンテック韓国は、韓国におけるセルフサービスステーション向けの組込みコンピュータ・リーディングサプライヤーとして、EV市場の成長が継続的に進むほど、セルフサービスガソリンスタンド市場は縮小すると考えていました。そこで、アドバンテック韓国は、大手充電器メーカーとの協業の機会を模索することにしました。
こうした充電スタンドは、日本でもマーケットとしては増加しており、日本の自動車販売数の次世代自動車の割合は上昇傾向です。ハイブリッド自動車が大半を占めている一方で、電気自動車やハイブリッド自動車は1%足らず(下図参照)ではありますが、今後の展望では、巨大ビジネスの１つとして大いに注目されており、日本政府は普及に向けて支援を進めています。
日本の次世代自動車の年間販売台数推移
出典: 国土交通省｢EV/PHV普及の現状について｣ https://www.mlit.go.jp/common/001283224.pdf, p.2
重要な環境に対応する広い動作温度を持つ堅牢なソリューション
EV充電ソリューションの某大手企業は、こうした政府の安全規制に準拠したシングルボードコンピュータ(SBC)を求めていました。さらに、過酷な環境でも正常に動作させるため、「堅牢な設計」「幅広い動作温度範囲への対応」「追加デバイスを統合するシリアルポートを複数」といった要件がありました。また、EV充電ステーションは数年にわたり24/7稼働させるため、「現地でのアフターサービス＆サポート」も重要な検討事項でした。
様々な製品を検討した結果、セルフサービスステーションで長年の実績を持つアドバンテックの第11世代Intel® Core™搭載の3.5インチSBC「MIO-5375」を組込むことに決定しました。MIO-5375は、「-40～85℃」という広範囲な動作温度範囲をサポートしており、厳しい環境下での動作が可能です。また、充電器内に収まるコンパクトさに加え、機能性を最適化するために合理化されており、全COMポートにIEC準拠のESD保護機能を備えています。さらに、4x RS-232、2x RS-485ポート(最大)、2x Giga Ethernetポートをサポートしており、インターネットやプリンタ、カードリーダー、カメラ、セルフサービスキオスクなどのデバイスに接続することが可能です。さらに、HDMI、DP、LVDSを用いて複数のディスプレイへの接続や、mSATAとmini PCIeでI/Oを簡単に拡張することができるので、急なアップグレードにも対応できます。
国際ビジネスに対応したグローバルサービスネットワークで、持続可能なソリューションを実現
アドバンテック韓国のSales DirectorであるTony An氏によると、EVの充電には20分~数時間必要であるといいます。そのため、駐車場や高速道路のサービスエリア、ショッピングモールなど、EVが30分以上停車するような場所に充電ステーションを設置することが望ましいとされています。
アドバンテックのMIO-5375は、屋外のEVステーションに設置する上で堅牢かつ耐久性のあるソリューションです。大半の工業規格に準拠しており、ヨーロッパや北米の有名自動車ブランドが実施した急速充電器プロジェクトでの信頼性テストに合格しています。また、ネットワーク接続により、充電完了時間や充電ベイの空き状況などのデータをコマンドセンターへリアルタイムに送信し、EV充電器の評価指標をモニタリングすることができます。
An氏は以下のように述べています。「当社のソリューションは、企業の要件を満たしました。長期保証が付くだけでなく、グローバルな物流、グローバルでのアフターサービス、海外輸出業者向けの製品認証も提供しています。MIO-5375は、実績のあるソリューションですので、EV充電器へ簡単に組み込むことができ、Time To Marketを実現します」。
MIO-5375
第11世代Intel® Core Uシリーズ i7/i5/i3/Celeron 3.5インチSBC
- 最大64GBのデュアルチャネルDDR4-3200
- 4台の同時同時画面表示 LVDS/ eDP*、HDMI、DP、USB Type-C
- 2x GbE、4x USB3.1、CAN Bus
- 電源入力：12-24V
- I/O拡張：M.2 E-Key/B-Key/M-Key (NVMeをサポート)、MIOe
- iManager、WISE-PaaS/RMM、SW API、Edge AI Suiteをサポート
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