アドバンテックの多機能木工CNCソリューション
2020/04/27

概要
生活水準の向上と新世代の個性意識の高まりにより、オーダーメイド家具や全部屋カスタマイズが主流となり、顧客ニーズへの対応が家具メーカーの変革の鍵となっています。しかし一方で、生産効率やデザイン面での課題が浮上しており、設備供給業者には迅速で柔軟な製造方法の提供が求められています。
業界の動向
現在、次世代型カスタム家具メーカーは、注文分割ソフトやCNCを活用して効率的にオーダーメイド加工を行っていますが、注文の多様化と増加に伴い、従来のCNCシステムでは加工速度や柔軟性の要求に応えることが難しく、特に以下の点で課題が挙げられます。
- 従来のCNCシステムは比較的閉鎖的で、拡張や最適化のカスタマイズが難しく、効率向上が困難であること。
- 従来の制御システムはインターフェースや拡張性に欠け、生産ラインの形成や最新機械との互換性が低く、柔軟な対応が難しいこと。
- G/Mコードは柔軟性に欠け、新しい加工アプリケーションに迅速に適応できないこと。
- データベースやMESシステムとの接続が難しく、生産ラインの情報化が困難であること。
プロジェクト背景
顧客は、研究開発、製造、販売を統合するシステムインテグレーション企業です。長年にわたるCNC木工フライス盤のユーザーから新たな要求が提案されました。既存のCNCフライス盤の効率と注文方法をさらにアップグレードおよび最適化するとともに、より多くの高機能ソフトウェアやMESシステムとの互換性を向上させ、オンラインでの配送および生産管理を提供したいと考えています。
顧客のニーズ
まず、処理速度の向上とコスト管理が求められています。処理速度は設備の主要な指標であり、従来のCNCシステムでは軸数やプログラムが固定されているため、新たな効率基準を満たすには3台のCNCシステムを購入する必要があります。これにより、コストやシステム間の通信・デバッグ費用が増加するという問題が発生します。次に、他の機器との接続の容易さも重要な要素です。従来は単体機器であった木工機器が、現在では接続を必要としています。特に、CNC木工フライス盤は、上流のダブルエンドソーのPLCコントローラと接続するためのインターフェースが必要ですが、従来のCNCシステムではインターフェースが不足しており、接続が難しい状況です。また、高度なコード互換性も求められています。従来のCNCシステムのGコード/Mコード形式は柔軟性に欠け、新しいMコードを導入する際にはメーカーのサポートが必要で、時間と労力がかかります。
アドバンテックのソリューション:
アドバンテックは、ユーザーの要望に応じて、WISE-5580を活用したマルチステーション対応の木工CNCソリューションを共同開発しました。この革新的なソリューションにより、加工速度は2分から20秒へと大幅に向上し、マルチステーションの拡張性が実現され、さらにMES(製造実行システム)との連携も可能になりました。
ソリューション概要
アドバンテックのエッジ制御ソリューションは、高性能Intelプロセッサを搭載し、Windows 7環境とCODESYSカーネルを統合して多軸モーション制御やCNC加工を実現します。柔軟なMコード定義やEtherCATバス対応により、士林電機のサーボドライバと連携してマルチステーション同時加工を可能にし、加工効率を大幅に向上させます。また、モジュール型インターフェースを使用して上下流設備との接続を実現し、CODESYSデータベースモジュールを介してMESへの迅速な接続が可能です。

導入製品
- AMAX-5580:PCに基づいたエッジコントローラで、EtherCATバスを介してプラグインI/Oモジュールやサーボドライバの拡張が可能
- AMAX-5000 I/Oモジュール:EtherCAT対応のI/Oモジュールを基盤とし、厚さわずか1.2cmのスリム設計を採用。最大100μsのリアルタイム通信制御に対応し、用途に応じて柔軟に構成が可能
- CODESYS PLC制御ソフトウェア:多軸モーション制御、CNCのG/Mコード、およびODBCデータベースプロトコルに対応。多軸オープンCNC制御システムにより、ITとOTの連携が可能となり、データベースやMESを活用した柔軟な加工を提供。
アドバンテックが選ばれる理由
- ITとOTを統合し、Windowsとデータベース通信機能を活用することで、顧客のCAMソフトウェアとMESを連携させ、受注生産と柔軟な製造プロセスを提供します。
- 軸数がボトルネックにならず、EtherCATバス技術を基盤に、サーボ軸を迅速に拡張でき、最大128軸まで対応可能です。加工ステーションを3つに増設し、同時加工が実現しました。これにより、荷物の積み込みや取り出しに人手を必要とせず、加工速度が大幅に向上します。
- アドバンテックのエッジコントローラは、RS232/422/485、Modbus、EtherCAT、EtherNet/IP、ProfiNET、CANopenなどのインターフェースに対応しており、顧客は上流の両端ノコギリのPLCと簡単に接続し、上流と下流のステーションを統合して生産ラインを構築できます。
- オープンCNCシステムは、標準GコードおよびカスタムMコードに対応しており、顧客はさまざまな高機能CAMソフトウェアを使用して、より多くの注文に対応できます。
プロジェクト結果
顧客のCNC木工生産ラインがアドバンテックの包括的ソリューションを導入した結果、生産効率が大幅に向上しました。単一ステーションから3ステーションへの処理最適化により、元々2分かかっていた工程が20秒に短縮されました。MESおよびデータベース通信インターフェースを活用することで、情報化と自動化技術が統合され、柔軟な加工と受注生産が実現しました。さらに、柔軟な拡張インターフェースにより、上流・下流の制御機器との統合や木工加工生産ラインの連携が可能となりました。