高い専門性と豊富な実績で、旅客案内システム開発の課題を解決
7/19/2022
現代の都市生活者は、利便性の高いメトロ(地下鉄)ネットワークの恩恵を受け、目的地への移動中に運行スケジュールやリアルタイムの運行情報をシームレスに入手しています。しかしながら、多くの通勤・通車客は、車載の旅客案内システム(PIS)こそが、安全で信頼性の高いメトロ運行を実現する鍵であることには気づいていません。 PISは、路線図や遅延通知、ドア開閉インジケーターなどを通じて、乗客が自信を持って移動計画を立てられるよう支援し、遅延発生時にもリアルタイムのガイダンスを提供する極めて重要な役割を担っています。そのため、世界各国の鉄道当局は、PISの継続的な製品供給、品質、そして信頼性を確実なものにするため、極めて厳格な標準規格を設けています。
豊富な実績・製品開発力・長期保証と継続供給がもたらす競争優位性
直近の事例として、日本の大手音響・映像機器サプライヤーが、主要な採用部材であった変形・バータイプ液晶ディスプレイの製造終了の通知を受け取るという事態が発生しました。このディスプレイは、同社がインドの地下鉄鉄道会社向けに提供していた旅客案内システムの基準設計として組み込まれていたものです。この突発的な供給終了に伴い、この日系元請け企業は、プロジェクトの開発スケジュールに影響を与えることなく、当初の厳格な販売要件を完全に満たす代替ソリューションを早急に調達する必要性に迫られました。
この代替となる液晶パネルには、オリジナルのリファレンスデザインで決定されていた寸法や各種技術的要素を完全に準拠することが求められていました。具体的には、従来と全く同じ外形寸法とI/Oインターフェイスを備え、他社製の液晶コントローラユニットから送信されるリアルタイムの制御コマンドを遅延なく受信・処理できる能力が不可欠でした。同時に、鉄道車両への搭載を前提とした機器に義務付けられている欧州の鉄道規格「EN 50155」をはじめ、各種国際基準をクリアしていることも必須条件でした。これらの幾重にも重なる厳しい選定基準は、一般的な液晶サプライヤーや世界の主要ベンダーにとっても、極めて難易度の高い独自の挑戦となりました。
この難局において、世界的な鉄道車両向けソリューションプロバイダーとして豊富な実績を誇るアドバンテックがパートナー企業として選定されました。アドバンテックが持つ車載システムにおける広範な知見、俊敏な製品開発能力、そして長期の製品保証と将来にわたる安定供給体制が高く評価された結果です。アドバンテックは即座に対応に乗り出し、1920×268ピクセルの超高解像度を誇るカスタムメイドの37インチ・ストレッチ液晶パネルを速やかに開発・提供しました。この新型パネルの提案と同時に、筐体内部へシームレスに組み込める専用の新規内蔵マイクロコントローラ(MCU)ボードの開発ロードマップも提示され、日系サプライヤーへ極めて短いリードタイムで一提案として提示されました。
グローバル供給網と専門知識/プロジェクトを停滞させない戦略
インド・メトロの車両レイアウトに合わせ、1台のVGAスプリッタと1台の液晶コントローラユニットを含む、多数のカスタムメイド「旅客案内システム(PIS)」パネルがすべての客車内に設置されました。これらのユニットは、お客様が独自に定義した通信プロトコルとコマンドを含むデータパッケージを、カスタマイズされたRS-485ポートを介してPISへと転送し、新開発の内蔵マイクロコントローラ(MCU)ボードによって即座に処理されます。
この高度な仕組みにより、カラーコード化された動的な路線図、現在駅や次駅の案内、リアルタイムの到着予定時刻といった最新の運行情報をPISパネル上へタイムリーに表示することが可能になりました。さらに、システムからの液晶パラメータ調整リクエストの実行もサポートしています。これらのカスタム液晶パネルは、車内の周囲の明るさに応じてバックライトの輝度を動的に自動調整する機能を備えており、乗客に対してより快適な視認性を提供します。
アドバンテックが誇る高いプロフェッショナルとしての技術力と、豊富な鉄道車両アプリケーションにおける実績は、日系元請け企業側による仕様説明の手間やコミュニケーションコストを大幅に削減しました。事実、アドバンテックが持つ欧州鉄道規格「EN 50155」に関する深い知識と、過酷な環境向けソリューションの提供経験は、お客様の貴重な開発時間を大幅に節約することに貢献しました。
同様に、アドバンテックの強固なグローバル・サプライチェーンおよび物流管理能力も、プロジェクトの加速に大きく寄与しました。最終的に、お客様独自の通信プロトコルに対応したカスタム液晶パネルおよび内蔵MCUボードは、日系サプライヤーが定めていた予算と開発納期の範囲内で完璧に開発されました。これにより、日系サプライヤーはインドのメトロ鉄道会社が求めていた厳格な選定基準・要求仕様をすべて満たし、無事にプロジェクトを成功へと導くことができました。
システム構成図