スマート匿名化監視システムによる安全性と快適性の向上
16/06/2022
要約
航空輸送は、観光やビジネス、個人の移動など、世界中で幅広く利用されている迅速で不可欠な交通手段手段です。日々膨大な数の人々が空港を行き交う中、安全確保とセキュリティの強化は近年、最も重要なテーマとなっています。一方で、欧州では法規制によって監視カメラの映像利用に厳しい制限が設けられています。この課題を解決するため、BrainCreators社、Bosch社、アドバンテックの3社は、プライバシーを守りながら空港内での映像活用を可能にする「AIデータ匿名化ソリューション」を共同で提供しています。
パートナー企業:BrainCreators & Bosch | 地域:オランダ
概要
航空輸送は、観光やビジネス、個人の移動など、世界中で幅広く利用されている迅速で不可欠な交通手段手段です。日々膨大な数の人々が空港を行き交う中、安全確保とセキュリティの強化は近年、最も重要なテーマとなっています。これに加え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、乗客の健康維持や衛生管理の徹底も、スムーズな空港運営には外せない要素となりました。このような状況下、新しい衛生・安全基準を満たし、乗客とスタッフ双方の安心感を高めるため、世界中の空港でスマートかつ効率的なテクノロジーを活用した解決策の導入が急務となっています。
スマートテクノロジーの代表例として、既存の監視カメラを活用したデジタル映像の自動検査や、リアルタイムの館内セキュリティ監視が挙げられます。例えば、AIを用いた混雑状況の自動検知やソーシャルディスタンスの測定は、公共の衛生と安全性を高める上で非常に有効です。さらに、これら多くの映像設備は、火災報知器や手荷物カートの管理システムなどとともに、空港の統合セキュリティダッシュボードに集約されています。空港は、このスマートビデオセキュリティを導入することで、現場のリアルタイムな状況を効率的に一元管理できます。
しかしながら、欧州をはじめとする一部の地域や規制当局では、監視カメラ映像の利用が厳しく制限、あるいは禁止されています。この法規制は、健康・安全基準の達成に支障をきたすだけでなく、リアルタイムでの設備・資産監視における既存セキュリティシステムの運用効率を低下させる要因にもなっています。
その代替策となるのが、リアルタイムで映像を匿名化しながら、空港運営に役立つ有益なデータを抽出する「スマート匿名化監視システム」です。このシステムは多様なプラットフォームに対応しており、プライバシーを守りつつ費用対効果の高い効率的な運用を可能にします。このようなソリューションを導入することで、厳しい衛生・安全規制を完全にクリアしながら、世界規模でのコスト削減とサービス品質の向上を同時に実現できます。
システム要件
本プロジェクトでは、BrainCreators社およびBosch Energy & Building Solutions社向けに、スマート技術ソリューションの基本設計(構想設計)を行いました。アドバンテックの戦略的パートナーであるBrainCreators社は、AIを活用したソフトウェア企業です。同社は目視検査を高速かつ安定して行う「デジタルインスペクター」を提供し、定型業務の自動化によってコア業務への集中を支援しています。さらに、同社の「BrainMatter」プラットフォームにより、クラウドやエッジ環境を問わず、デジタルインスペクターの学習から運用までをスムーズに実現するターンキー型のソリューションを提供しています。
さらに、世界的なボッシュ(Bosch)グループの一員であるBosch Energy & Building Solutions社は、管制室(コントロールルーム)向けに特化した安全・セキュリティソリューションを展開しています。同社はさらに、建物全体の安全性、快適性、そして効率性を高めるために、各種設備をネットワークでつなぐ統合型のソリューションも提供しています。
新型コロナウイルスの流行とそれが航空業界に与えた影響を背景に、BrainCreators社とBosch Energy & Building Solutions社は、空港の既存カメラ設備を有効活用する新たなアプローチを模索しました。その目的は、リアルタイムでの資産監視や混雑緩和、ソーシャルディスタンスの確保に向けた目視検査の自動化です。具体的な要求仕様には、以下の項目が挙げられています。
- 次世代AIソフトウェアを支える先端ハードウェア
- 低コストかつ高品質な運用
- 高品質サービスの実現
- 欧州の法規制への完全準拠
- 大型施設・空港に特化したシステム統合能力
システム概要
本スマートソリューションの中核には、第8世代インテル® Core™ iプロセッサを搭載したコンパクトでファンレス「MIC-770」が採用されています。 システム構築のプロセスとしては、まず初期段階のデータ処理をBrainCreators社のデータセンターで実施します。その後、AI推論を実行するために、NVIDIA T4 Tensor コア GPU(インファレンスカード)を組み込んだアドバンテックのMIC-770へアルゴリズムを実装する流れをとっています。さらに、このNVIDIA T4を複数搭載できる設計にすることで、多様なプラットフォームや規模の拡大にも柔軟に応じる優れた拡張性を確保しました。この高度なハードウェア構成により、ビデオ管理システム(VMS)から収集された映像データは、エッジでリアルタイムに解析・処理・匿名化されます。空港管理者は、プライバシーを完全に保護した状態の安全なデータをベースに、施設内の設備管理や運営の最適化へ効率的に役立てることができます。
本スマート匿名化監視システムには、デジタルツインの構築が可能というさらなる利点があり、これにより幅広い用途への柔軟な対応力がより一層高まります。具体的な活用シーンとしては、館内の資産監視をはじめ、高精度な動線トラッキング、リアルタイムの人数カウント、安全対策としてのマスク着用検知、手荷物カートの位置把握、そしてセキュリティ強化に不可欠な置き去り荷物の検知などが挙げられます。この機能を導入することで、スタッフの巡回や固定設備(照明、ゴミ箱、スプリンクラーなど)の点検にかかる人員コスト・維持費を大幅に削減できます。さらに、清掃などの外部委託リソースを必要な場所に効率よく配置できるようになり、空港全体の運営最適化が促進されます。
導入製品
まとめ
COVID-19パンデミックの影響が続く中、日々膨大な数の旅客が行き交う空港において、乗客の健康と安全の確保は世界共通の最重要課題です。この状況に対応するため、乗客と空港スタッフの安全性を高めつつ、運営コストの削減を同時に実現するスマートソリューションの導入が進められています。
その結果、アドバンテックの実績豊富な産業用PCとエッジAI技術が基盤となり、BrainCreators社およびBosch Energy & Building Solutions社向けに、リアルタイム映像の匿名化を中心とした空港運用管理ソリューションが構築されました。本ソリューションは、既存のカメラ設備をそのまま活かしてリアルタイムの資産監視、群衆の自動検知、ソーシャルディスタンスの確保といった目視検査を自動化し、欧州の一般データ保護規則(GDPR)を完全にクリアします。具体的には、BrainCreators社のデータセンターで事前学習されたデータを、エッジ側の「MIC-770」へ実装して運用。ビデオ管理システム(VMS)が捉えた映像データを現場で即座に解析・処理・匿名化し、プライバシーを守りながら資産管理や運営の最適化に役立てます。
さらに、アドバンテックの先進技術を基盤とする本スマート匿名化監視システムは、マルチプラットフォームに対応する高い拡張性を備えています。映像データから有益なインサイトを導き出すことで、コスト削減と運用効率の向上を両立させ、世界各地の空港におけるサービス品質の底上げに貢献します。
